MSX3メモ ~マラソン・トレラン・登山のあれこれ~

アルコールを中和するために走るおっさんが登山やマラソンのことをメモするブログ。マンガゲームウイスキーについても語る!

2025年8月8日 近くて遠い北アルプス「笠ヶ岳」テント泊登山

お盆休み前に、北アルプス笠ヶ岳にテント泊で登りました。

笠ヶ岳は槍ヶ岳や穂高岳からよく見える秀峰で、百名山にも選ばれています。ただ、槍・穂高からは谷を挟んで(ほぼ)独立した位置にあるため縦走ルートには組み込みにくく、どうしても後回しになりがちな山です。

僕も長いこと「いつか登ろう」と思っていたのですが、今回あらためて北アルプスの地図を眺めながら計画を立ててみたところ、まだ登っていない百名山は笠ヶ岳と鷲羽岳くらいになっていました。ちょうどいい機会だと思い、今回は笠ヶ岳を選びました。

2日間で1座というのは少しタイパが悪い感じもありますが、例によって「2日目は早く帰りたい」という気持ちもあり、今回はサクッと登って帰るプランに。笠新道が噂通りのキツさでのんびり山行とはいきませんでしたが・・・。

ルート 新穂高~笠新道~笠ヶ岳(ピストン)

新穂高から笠ヶ岳を往復しました。笠ヶ岳に登るルートは笠新道か双六方面からの縦走しかありません。新穂高から左俣林道を詰めて笠新道へ、そこから標高差1000mを笠ヶ岳まで一気に登ります。

この笠新道が急登で有名でして、標準コースタイム6時間、ずっと急登でかなりきつい登山道と各所で伝えらえております。僕は健脚なのでまあコースタイムの70%、テント装備でも80%で行けるだろう、と想定して計画しましたが、結果大体想定ペース通りで登れたんじゃないかと思いますが、感想としては非常にきつかったですね。正直、もう登らないと思います。

登る前に心配だったこと

例によって出発前はあれこれ心配事がありました。体力的なものはどうにかなると思っていましたが、登山に悩みはつきもの。

駐車場問題

まず心配だったのは、新穂高温泉の登山者用無料駐車場に駐車できるか?という点。

最近の新穂高駐車場は混雑度合いが激しく、特に登山者用無料駐車場(新穂高第3駐車場・「P5」※ややこしい!)はかなり早く着かないと駐車できない状況となっています。実際僕も一昨年の8月平日に6時ころ到着したら、満車でした。

登山予定日の8月8日は平日だから余裕と思っていましたが、翌日9日からお盆休みになるため前乗りする奴らがいそうだし、実際混雑予想カレンダー見たら「大混雑」予想でした…。

ここに止められないとすると少し遠い「鍋平」に止めるしかありませんが、コースタイムが増えるし帰りもダルいので、今回初めて前の日の夜から行くことにしました。結果、22時半到着でP5に無事駐車することができました。それでも到着するまではドキドキでした。そして夜中でも警備員さんがいて誘導していてびっくり。P5は4時頃満車になったようです。

水場問題

今回のルートの水場は新穂高バスターミナルと笠新道入口、あとはテント場と山小屋ですが、なんと頼みの綱のテント場の水場が枯れていました。枯れやすいとは聞いていましたが、笠ヶ岳小屋のHPにも注意喚起無かったしびっくりしました。雪渓からの水ということで、最近は雪が少なくてこの時期には枯れるのが普通とのことらしい。いやHPに書いておいてよ。大事なことでしょ。

笠新道は長くて直射日光当たるとかなり暑いので、3リットルくらいは最低持った方がいいとして、テント場で水が無いのは非常に困りました。しかもですよ、山小屋で1L200円とかで売ってくれると思うじゃないですか?なんと500mlのペットボトルが600円でした。しかも2本までしか売ってくれないという。過去一高い水でした。水で儲けすぎ。

登山を振り返る

さて、ここからは登山の様子を振り返ります。

車中泊初めてだったんですが、思いがけず快適でぐっすり眠れました。自宅で寝て早朝出発するより快適かもしれない。早い時間から活動できるし車中泊いいかもしれない。ということで5時出発。天気は晴れ予報ですがやや曇り。

新穂高のトイレで最終調整。本日の服装はご覧の通りオッサンの休日スタイルです。アウトレットのバギーズ5インチは初登山となります。

佐俣林道を進みます。登山者は多い。

笠新道から少し登って来ました。笠新道、出だしから急登かつ石がゴロゴロしてるタイプの登山道で歩きにくい。斜度もかなりきつい!

1800m地点のアルミベンチと救急箱。まだまだ序盤です。天気は小雨。涼しいからいいけど草に付いた雨のしずくで服やザックが濡れまくる。

標高2000mあたりで視界が開けて草付きの斜面になります。ガスの中で日差しが無い分まだ楽なんでしょうが、急登が思ったよりきつく、かなりへばっていました。登山道脇の木の枝がザックに引っかかることが多く非常にウザかった。この辺までで大体三分の一の行程。

そこから少し登ると視界が開けまして、稜線が見えてきます。登山道はずっと急できついことこの上なし。

尾根を乗り越えると視界が開け、「杓子平」に到着しました。標高2450mくらい。ここで15分ほど休憩。晴れていれば笠ヶ岳が見えるんですがこの日はガスで見えず。それでも雄大な景色に圧倒されました。

杓子平からは少しだけ平坦路ですが、すぐにまた急登になります。キツイ登りはここから1時間で最後です。アルプスの山頂直下のような急な斜面を登り切りますと…

やっとこさ稜線に出ました。左に進むと笠ヶ岳方面ですが、せっかくなのですぐ右手の抜戸岳のピークも踏んでいくことにします。

抜戸岳登頂。標高2850mくらいありますが、超地味な山頂でした。ここまで明瞭な登山道が無くて大変苦労しました。そしてここから登山道に戻るのも道が良くわからずハイマツの中突っ切ったりして難儀しました。

何とか稜線の登山道に復帰しまして、ここからは1時間程度のビクトリーロード、稜線漫歩で笠ヶ岳を目指します。ご褒美稜線漫歩のはずですが、かなり疲労感ありました。

体力はギリギリだが、北アルプスの稜線、って感じで最高。

スタート地点の新穂高がすげえ下に見える。

フォトジェニックな岩の割れ目を抜ければ、残りわずかです。

笠ヶ岳山頂、その肩の小屋が近くなってきました。右肩に小傘と小屋を従えたずんぐりフォルム。

最後の登りを超えると、13時頃テント場到着。

テン場にトイレが無いので、なるべく小屋に近い位置にテントを設営。曇り空に風が結構強くて寒かった。

少し休んだら小屋に向かいます。テント場を振り返って。ここから小屋までが遠いんだよな。5分とかでは着かなくて、10分近く登ります。しかも道がけっこうわかりにくくて朝方トイレ行くとき迷った。ウンチは多分我慢できない自信ある。

笠ヶ岳山荘です。こじんまりとした小屋ですが、作りはかなりしっかりしてそうでした。ここで受付と500mlで600円の高級水を購入。裏手には結構広いスペースがあったので、ここにテント張らしてほしい。トイレは300円とこちらも高い。

山頂へ向かいます。小屋から10分くらい登る。山頂手前に祠。

山頂見えてきました。

笠ヶ岳に登頂しました。山頂に着いた頃天候が回復してきて、景色も結構見えました。

クリヤ谷方面。登山道整備されていないため通行不可となっています。

歩いてきた稜線。雪渓の上にテン場が見えます。奥には裏銀座の山々が見えました。

テントまで戻ってきました。あとは飲むだけです。一瞬槍も見えました。景色のいいテント場です。水とトイレがあれば最高なんだけど。

苦労して担いできましたが、水の代わりにはならないんだな。

今回、久しぶりの新道具として座椅子を持ってきました。キャプテンスタッグのキャンプ用チェア約3000円。約600gとこの手の椅子の中ではかなり軽量。

座椅子を使ってみたら超快適で一歩も動けなかった。やや嵩張るので収納に苦労しましたが、持ってきてよかった。いつもテントタイムに長時間座るのがしんどかったので導入しましたが、なかなか良かったですね。本当は外で使いたかったんですが、風が寒かったのでずっとテントの中でダラダラ飲んでました。

今回枕も導入しました。夜中にしょっちゅう起きてしまう問題解決なるか。

晴れそうで晴れない天気のまま夜になり、19時頃就寝。近くのテントの男性ペアがずっとおしゃべりしてて、咳払いが独特でなかなか寝付けませんでしたが、枕のおかげか夜中ほとんど起きることなくぐっすり眠れました。

3時半頃起床。お腹は空いてませんが荷物を減らすためカレーメシを食べる。

カレー食いながら外見たら、素晴らしい朝焼け!

昨日とは打って変わって穂高連峰が全部見えます。

槍ヶ岳からの日の出。最高の景色。

朝焼けに染まる笠ヶ岳。

実は今回ザックを変えました。グレゴリーズール55です。また詳しくレビューしたいと思います。

5時過ぎ、下山開始します。焼岳、乗鞍、御岳がきれいに並んで見えました。

昨日より天気いいですが、今日は午後から大雨予報です。

黒部五郎、鷲羽、水晶といった裏銀座の山々もよく見えて立ち止まってしまう。

笠ヶ岳さらば、もうしばらくは登らないと思うけどいい山でした。

笠の奥に白山が見えました。

あとはずっと下るだけ。

下山は穂高連峰見ながらですが、足元悪いので足の置き場探しながらの下山で結構疲れました。トレランの人と20人以上すれ違いました。一般登山者はあまり登ってこなかった。天気悪くなるからだと思いますが。

永遠かと思う笠新道の長い下りを終えて、やっと林道到着。笠新道は下山もやばかったですね。

この広場からヘリで荷揚げをしていました。

まとめ

北アルプス100名山登り残しの笠ヶ岳を登ることができましたが、いやー笠新道が非常にキツかったですね。正直もう二度と登りたくないです。これまで登ったキツイ登山道ベスト3に入ると思います。ちなみに一位は南アルプス大門沢の登り、二位は涸沢パノラマの登りかこの笠新道ですね。

笠ヶ岳は北アルプスでもちょっと外れたところにあるせいか、あまり北アっぽく無いというか、そこまで整備されていない感じがありました。素朴でいいのですが、山小屋の水の高さはどうかと思いました。雨水売ってほしい。あとテン場にトイレが無いのはやっぱり超絶不便。我慢できない下痢になったらどうしようと気が気ではなくテントを楽しめませんでした。

思ったよりキツイ登山でしたが、それでも車中泊快適だったし、新しいザックや道具も試せたし非常に楽しかったです。いいトレーニングになりました。